【第12回】がんは予防できる?医師・林和彦が語る“遺伝・感染・生活習慣”のリアル

今回は、ラジオ第12回「がんは予防できる?医師・林和彦が語る“遺伝・感染・生活習慣”のリアル」をテキスト版でお届けします。

医師として長年がん医療に携わってきた林和彦が、専門的な内容をわかりやすく、率直に語ります。「がんは予防できるのか?」そのヒントをお届けします。


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📖第12回テキスト版
ウイルス感染が
がんの原因になることもある


早川 クリスマスといえば、先生はどんなことを想像しますか?


林 そうですね。まだ20代だった研修医の頃、大学病院でクリスマス回診っていうのを始めたんです。クリスマスだろうとお正月だろうと、入院している方は病院にいらっしゃるわけで。本来ならご家族やご友人と楽しく過ごすはずですから、そういう方々に少しでもクリスマス気分を味わっていただきたいと思って「クリスマス回診をしませんか?」って教授に提案したんです。

「何をやるんだ」と訊かれたので、まず若いスタッフにトナカイのぬいぐるみを着てもらって(笑)。それからささやかなプレゼント、キャンディとかチョコとか、食べられない方には別のものを可愛くリボンでラッピングして、看護婦さんや主治医のコメントカードを添えて、夜の回診で一人ひとりに「メリークリスマス」と渡すようにしました。その時ちょっとでも雰囲気を味わってもらうために、口に入れて良い方にはアルコール抜きのシャンメリーをお配りしていました。


早川 いやあ、素敵ですね。


林 中堅の医師にサンタの衣装を着せて、プレゼントを白い袋に入れて配ってね。これが、ずいぶんと好評でした。


早川 そんなクリスマスの話を伺いながら、今日のテーマです。番組では初めて“がん”について伺いたいと思います。

我が家は、私の父も肺がんで3年前に亡くなった“がん家系”なんです。ズバリ、がんって予防できるんでしょうか?


 うーん。正直、予防できるような、できないような状況なんです。

まず早川さんの言った「がん家系ってあるのか?」、それから「がんは遺伝するのか?」という問題。一般的にはがんは遺伝すると思われているし、患者さんやご家族からも「うちはがん家系だから」と言われます。でも、我々医師からすると「ん?」と思うことが多い。というのも、遺伝性のがんって、実は珍しいんです。


早川 めずらしいってことは、あるにはあるんですか?


 そうなんです。特定の遺伝子があって、子孫にそのまま伝わることで遺伝するケースだけですね。たとえば特定の大腸がんなどがとある家系で広がっているとすると、遺伝子解析の結果「ここに異常がある」と判明することもあります。こういうことは、50年前くらいから研究されてきています。

その中で分かってきたのが、がんの遺伝の確率は高くないということです。おそらく1割以下でしょう。


早川 ええ、そんなに低いんですか。となると、がんになるのは生活習慣なんかの影響が大きいということでしょうか?


林 たしかに生活習慣の影響はあって、まず、喫煙は絶対に悪影響です。それからお酒も、タバコほどでなくとも原因になりえます。それから意外に知られていないのが、感染ががんの原因としてかなり多いということです。


早川 感染? ウイルスとかってことですか?


林 ウイルスとがんって、どう結びつくのが分かりづらいですよね。

たとえば胃がんの原因はピロリ菌です。もともとピロリ菌は胃潰瘍の原因菌として見つかったんですが、その後大半の胃がんの原因だと判明しました。それから十二指腸潰瘍や胃潰瘍の治療として抗生物質でピロリ菌退治が始まって、日本の胃がんは激減しています。今後、胃がんはほとんどなくなるでしょう。

それから肝臓がん。B型肝炎・C型肝炎ウイルスの感染で肝臓が慢性炎症を繰り返すことが、発がんにつながるとも考えられています。


早川 慢性炎症ががんの原因になりうるということですね。

すべてのがんではないにせよ、ウイルスの感染ががんを引き起こすケースもあるわけか……。


 社会現象になったのが、子宮頸がんですよね。今ではヒトパピローマウイルス(HPV)がほぼ100%の原因と言われている。だから、女性は男性からウイルスをうつされなければ、子宮頸がんにはなりません。


早川 なるほど……。こんな風に教えてもらうと菌とウイルス、がんの繋がりが見えてきますが、先生に言われるまでは考えてもみませんでした。


林 これはぜひ、皆さんに知っておいていただきたい話なんです。

男性には響きにくい話かもしれないけれど、子宮頸がんで「誰がウイルスをうつすのか?」と言ったら、男性なんですよ。だから本来は男女ともにワクチンを打つべきで、多くの国ではもう男性も接種が当たり前になっています。日本でも東京を中心に動き始めて、全国に広がっているところです。


30年後には
がんにかかる人はゼロになる?

早川 ということは、子宮頸がんだけじゃなく、胃がんワクチンや他のがんのワクチンも生まれる可能性があるんでしょうか。


 もちろんあります。それも、もう50年以上前からワクチン研究がされていますから。

ただ、がんは原因が多様で、研究が複雑で難しい部分もあります。ウイルスなどだけでなく、細胞の老化や炎症などでもがんになってしまうので。

でも、先ほどお話しした通りピロリ菌を抗生物質で退治すれば胃がんは激減しましたし、肝臓がんもB型、C型ともにウイルスに効く薬ができましたから昔に比べて減ってきているんです。ただ最近は、ウイルスではなく肝臓に脂肪がついた脂肪肝の状態が原因で肝臓がんになるパターンが増えているようですが。


早川 そうなんですね。


 それから近年、30〜40代の若年層の大腸がんが世界的に急増していて、日本も例外ではないんです。国立がん研究センターがショッキングな発表をしていてね。がんの急増は、特定の菌たちが作る“ポリバクチン”という毒素が原因ではないか、という研究結果が出ているそうです。

ということは逆にいえば、毒素を退治したり中和したりできれば、大腸がんが激減する可能性もあると考えられるんですけどね。

がんってある意味、自然な老化の一種でもあるんですよ。細胞が分裂するたび、遺伝子が少しずつ傷ついて、それが積み重なってボロボロになって、ある時暴れ出すわけですから。老化を進めてしまうウイルス感染やタバコなどの化学物質、色々と要因はあるから、抑え込むのも一つの方法じゃ足りないと思っています。要因をひとつずつ減らしていくのが、がん治療であり、寿命を伸ばすエイジングに関係してくるのかもしれませんね。

生物の進化に外界の微生物との戦いは避けて通れませんから、このように私たちの体とウイルスや菌が密接に関わっているのは、当然なことだと思います。


早川 肺がんや膵臓がんについても、最近の研究で分かっていることはありますか。


 肺がんの原因としてあげられるのはタバコ、アスベストがあります。昔の建築には防音材なんかにアスベストが使われていたんです。私の通っていた学校の校舎にはアスベストが使われていて、天井が崩れていたところが綿みたいになっていて……子どもの頃、ちぎって投げ合った記憶があります(苦笑)。


早川 絶対、吸い込んでますね。


 そうですよね。それがなんでがんの原因になるかというと、綿っぽい部分が実は針のような微粒子で、それを吸い込むと肺の奥に刺さって抜けず、慢性炎症になって発がんするんです。

たとえば膵臓がんだって、多いのは膵液を流す膵管に炎症が起こることで発生するケースです。膵臓は腹膜の後ろ、背中側にあって症状が出にくいんです。それから染み込むように広がったり血液にのって転移したりしやすい。だから見つかった時には手遅れが多くて、一番恐ろしいのが膵臓がんです。

ただし最近は肺がんも膵臓がんも遺伝子解析が進んで、特定のケースに効く薬も開発されてきている。今もなりかけているんだけれど、これからの時代は「このタイプのがんにはこの薬」という個別化医療が当たり前になっていくと思います。

膵臓がんは予後が悪くて5年生存率も低いですから、研究者の意欲も高く、最先端の開発が進んでいます。


早川 じゃあ、たとえば30年後とかには、がんにかかる人はいなくなる可能性があるんでしょうか。


 それは、正直分からないです。私が学生から研修医になった30年前、がん遺伝子が見つかって、医学界はフィーバー状態でした。「これで10年後にはがんはなくなるぞ!」なんて言われていたんです。その頃にDNAに関する分子生物学もできて、これを突き詰めていけばがんはなくなると、私もずっと思っていました。でも現実には、今でもずいぶん減ってきたとはいえ、完全には治っていません。

だから、私としてはがんになってから治療するよりも、ならないように予防するのが一番良いんじゃないかと思います。


早川 たしかに、そうですね。


 だからぜひ、皆さんには腸活をしてほしいと思います。


早川 先生はこれまでにも、がんに関する著書を執筆されていますよね。

これからも、番組でがんに関するテーマも取り上げていきたいと思います。


🐮教えて!神グルト
「神グルトは食べ続けないとダメですか?」


早川 リスナーの方からこんな質問をいただいています。

「がんをきっかけに6月から家族5人、神グルトなどで腸活を始めました。便の匂いや硬さが気にならなくなりました。1日平均200グラムほど食べています。腸が良くなっても中断すると元に戻りますか? 菌なので体内に長く留まり続けてくれるような気もしますが、実際はどうなのでしょうか?」(K.Sさん・男性)


 そうですね。多分、食べ続けたほうがいいかなと思います。とはいえ目的や体調にもよるんですけどね。

たとえば一時的に腸内フローラが乱れていた方なら、一度整ったら腸が元気な状態に戻って、買いたくない、食べたくないというわけではないけれど体にとって不要になることもある。実際「もう食べなくても大丈夫になった」と神グルトを“卒業”していくお客様もいます。

とはいえ、食べないと便が出ない、気分が上がらない、アレルギーが再発するという方がいるのも事実です。私自身もそうですが、そういう場合は流れを維持する必要があります。

私自身も7〜8年食べ続けていますが、今では必須ですね。


早川 先生も毎日食べているんですね。


 この方は1日200グラム召し上がっていますが、これは私と同じくらい食べてますから、結構多いほうです。ほとんどのお客様は100グラム、スーパーに売っているヨーグルトカップくらいを1日の目安にされています。だから200グラムを急にやめたら、多分何かしら体調に変化が出るかもしれません。


早川 食べるのは2日に1回とかではなく、やっぱり毎日がいいんですか?


林 そうですね。小川も常に流れていることが濁らない秘訣でしょう。丸1日、2日止まると濁ってしまうわけで、流れが細くても、常に流れているほうが良い状態を保てるんです。(了)

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聴けば腸と人生が整う! ラジオ番組「神グルトラジオ」の公式HPです。 この番組は、がん専門医をやめてヨーグルト屋になった 林和彦がインタビュアー早川洋平とともに がんや腸活、健康と人生について語ります♪ 下記の各種アプリで毎週月曜日に配信中! テキスト版はページ下部からご覧いただけます♪

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