【第11回】腸と睡眠・心・美肌の関係を徹底解説!“腸活×人生相談”スペシャル
今回は、ラジオ第11回「腸と睡眠・心・美肌の関係を徹底解説!“腸活×人生相談”スペシャル」をテキスト版でお届けします。
「夜眠れないのは腸のせい?」「腸内環境が心に影響する?」「腸を整えると肌が綺麗になるって本当?」といった質問に、最新エビデンスを交えながら林がわかりやすく解説します。
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早川 今回も、リスナーの方からお便りをいただいています。
最近、夜眠れなくて困っています。腸活で睡眠の質は変わりますか?(東京都・65歳・女性)
林 そうですね。まず、最近の研究で分かってきたのは、腸内環境が体じゅうの臓器や器官に影響しているということです。以前は想像の域を越えなかったんですが、今はエビデンスが続出してきているんです。10年前なら腸内細菌について話すのは私のような消化器の専門医くらいでした。でも今は、循環器の医師も精神科の医師も、その影響を語るようになってきた。それだけ研究が進んできた証拠です。
脳腸相関という、脳の状態が腸に影響を及ぼし、逆に腸の状態も脳に影響を及ぼす現象をさす言葉があります。これを、最近ではよく聞くようになりました。日本には“腹言葉”があるくらいで「お腹と心はつながっている」と考える文化があります。“腹黒い”“腹が立つ”“腹を決める”“肝が煮えくり返る”……みんな“腹”が精神に影響する感覚的な表現です。実はこれも近年エビデンスが急速に増えて、実際にお腹と心がつながっているメカニズムも分かってきています。だから腸内環境は普段のメンタルにも影響しますし、睡眠の質にも影響しているといえるでしょう。
早川 そうなんですね。
林 睡眠はホルモンの働きが大きく関わります。“睡眠ホルモン”と呼ばれるメラトニンなんて言葉は、聞いたことがあるかもしれません。
早川 あ、聞いたことあります。
林 以前メラトニンは、時差ボケ解消にフライトの多いビジネスマンがサプリとして摂っていました。でも今は、そのメラトニンより一段階進んだ薬ができています。
早川 メラトニンサプリ、僕も出張で使ってました。最初は効いている気がしたけど……だんだん効かなくなる感じはありましたね。
林 そう、サプリだから医薬品ほど安定した効果は出にくかったんですよね。それで、その一段階進んだ薬ができたということなんです。それは結構効果が高いですし、医者にかかれば一般的に処方してもらえます。クセになって離脱できない睡眠薬みたいなものではないので、そこも安心できますよ。
早川 素晴らしいですね。
林 メラトニンはどうやって作られるかというと、まず、私たちがたんぱく質を食べますよね。それが胃腸で分解されていくと、トリプトファンという必須アミノ酸ができます。そこからセロトニンに変わり、セロトニンからメラトニンができるんです。セロトニンはいわゆる“幸せホルモン”とも呼ばれていて、それが脳内でポジティブな働きをすると言われています。ただし、腸で作られたセロトニンが脳に直接行くわけではありません。脳には BBB(Blood-Brain Barrier /血液脳関門)という巨大な関門があって、そこで止められてしまう。
早川 かんたんには通れないんですね。
林 通れないけれど、腸でセロトニンが作られているという“信号”は脳に届くんですよ。その影響によって、脳内のセロトニンの働きが増えると考えられています。
早川 それでは、続いての質問をご紹介します。
最近会社を辞めたい気持ちが強いです。腸は心に関係あるんですか?(大阪府・28歳・男性)
林 腸内環境が精神状態にも影響を与えるのは、間違いありません。
今、世界のいくつかの国で精神疾患を薬ではなく腸内環境の改善で治せないか、という臨床試験が始まっています。薬ではなく、自分の体を“正常な状態へ戻す”というアプローチですね。
私自身もご飯を食べ忘れると、気分が上がらないんですよ。「あれ、なんだか気分が上がらない」と思うと「あ、ご飯食べるの忘れてた」というように。そういった経験上でも、腸と心は密接に関係しています。
早川 今先生がおっしゃった海外で腸内環境とメンタルの研究が進んでいるという話、すごく興味があります。どんな風に研究されているんですか?
林 アプローチはいくつかあります。1つはプレバイオティクス、腸内細菌の“餌”を多く摂らせる研究です。もう1つは特定の菌を投与してどう変化するかを見る研究です。自分も研究をやってきた身としては、この研究方法は差が出にくいだろうなとは考えているんですけどね。
でもこの研究でたくさん症例を集めれば、近いうちに確実な結果が出てくるだろうと感じています。
早川 そういった研究のトップの国って、イメージですがアメリカとかなんですか?
林 トップというと、難しいですね。ただ言えることは、医学研究はこの半世紀くらい、ビジネスと結びついているんです。研究には本当に膨大な費用がかかるので、国が研究費をふんだんに出してくれるわけじゃないと、どうしても製薬会社が儲かりそうな研究にお金を出す流れができる。だから、“お金になりそうな研究”は出資されやすいんですよ。それで、この50年くらいはそういう時代が続いてきたと思います。
でも、今回の腸内細菌のような薬じゃないアプローチとなると、薬が売れるわけではないから製薬会社が動きにくい。今進んでいる研究というのはビジネス主導ではなく、研究者自身のマインドで動いているものが多いと思います。
早川 なるほど。業界の色々な構造が絡んでいるんですね。
先生、これも素人質問なんですが、腸内環境の良い国民性ってあるんでしょうか?
林 それは、日本人でしょう。
早川 本当ですか! 僕たちが日本人だから、ポジショントークじゃなくて?
林 これね、本当なんですよ。日本人が長寿で肥満が少ないのは、単に遺伝だけでは説明できないと思うんですよね。
日本人の食事について解析していくと、やはり腸内環境を整えるような文化が整っているんですよ。食物繊維を多く摂る、発酵食品を日常的に摂る、こういう食習慣が遺伝以上に腸に影響してきた可能性はあると思います。
それで、私は大学病院にいた頃にさんざん薬を処方してきた身ですから偉そうなことは言えないんだけれど、食品の業界に入って食の研究をやり始めてから強く思うのは、生活習慣病の半分くらいは食でなんとかなるんじゃないかということ。最近、特にそう思いますね。
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肌の調子が腸で変わるのは本当ですか? 美肌にいい腸活が知りたいです。(千葉県・40代・女性)。
林 前回、短鎖脂肪酸の話をしましたよね。その短鎖脂肪酸が血中に流れ、肌に届くと、肌のバリアを整える働きがあります。
人体のバリアは“腸と皮膚”の2つなんです。
早川 腸と皮膚、ですか?
林 皮膚は言わずもがな、人体を覆っていますよね。腸は体内にありながらも、体内に入ってくるものをすべて吸収するのではなく、選別してくれるバリアの機能を果たしているわけです。
皮膚にも常在菌といって、いわゆる皮膚のフローラが存在します。その研究が進んでいて、皮膚細胞に働きかけて潤い成分を出させたり、傷を修復したり、キメを整えたりする作用が分かってきています。
ですから腸内環境を整えると肌が綺麗になるのは、正しい話です。
早川 なるほど。
先生自身も、めちゃくちゃ肌が綺麗ですよね。
林 それ、最近よく言われます。昔は全くで、50代後半になって自分でヨーグルト作り始めてから言われるようになりました。催事でお客様の前に立つと「肌、綺麗ですね」なんて褒めていただけることもあって。
早川 ツルンと剥けたゆで卵のような……。
林 え、そこまでですか?(笑)。
でも実際、催事で初日に神グルトを買ってくださった方が、3日後にまたいらして「食べた翌日から化粧のノリが違った」とお話されていました。
早川 今ふと思ったんですが、先生が化粧品を作ることはあり得るんですか?
林 できると思うんですよね。皮膚には弱酸性が良いと言われていますが、石鹸はアルカリ性で肌荒れを起こしやすい。色々調整液を入れた中性石鹸もありますが、合成系の石鹸だと肌に残ってしまうことも多くて、荒れる原因になるんです。そのぶん手入れをするためのクリームもたくさん発売されていますけどね。
私としては、薬と同じように人体と別のものを塗るよりは自分が本来持っているものがいいだろうと思って、以前乳酸菌を培養しているときに自分の肌にも塗ってみたことがあるんです。
早川 おお。
林 おそらくpHの調整をすれば、いいものができる気がします。短鎖脂肪酸は消化で分解されるので、口から摂っても直接肌には届かない。でも、外から微細な循環を作れたら面白いし、化学物質ではなく生理的な働きを引き出す化粧品って、もしかしたら次の私たちの動きとしてはありえるかもしれませんよね。神楽坂乳業がある時「神楽坂化粧品」に変わっているかもしれない。というか「神楽坂発酵」にしたいくらいなんですよね。
早川 企画会議みたいになってきましたね。メディカルフードやメディカルコスメを取り扱っていく、という。
林 将来的にはありですね。メディカルフードとメディカルコスメは根っこが一緒なんです。いつまでも若々しく元気でいたいという願いは、体の臓器でも外見でも同じです。
これまで薬や化粧品で“外から整える”のが当たり前でしたけど、“本来の生理的な働き”を取り戻すというのは全く新しい発想ですよね。それは、ビッグビジネスの匂いがします。
早川 いやあ、忙しくなりそう。先生があと5人くらいほしいですね(笑)。
林 (笑)。(了)
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