【第8回】腸内環境を「見える化」する。検査と日々の観察をどう活かす?
今回は、ラジオ第8回「腸内環境を「見える化」する。検査と日々の観察をどう活かす?」をテキスト版でお届けします。
腸内フローラ検査で分かること、そして毎日の便や体調から分かること。データと実感の両面から「自分の腸」を見つめ直すヒントをお届けします。
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早川 11月も下旬になってきましたね。先生は四季の中で、好きな季節はありますか。
林 夏が苦手なんですよね。若い頃から海やマリンスポーツがあまり得意ではなく、冬の寒い時期のほうが好きです。スキーもよくやりましたし。
早川 いいですね〜。何より、近年の夏の暑さは厳しいですもんね。
林 寒い時は着込めばなんとかなるけど、暑さは脱いでも限界があるでしょう。
長い夏がやっと終わると聞くだけで嬉しく感じます。
早川 本当ですね。
さて本日のテーマですが、神ラジでは腸内環境の話をしてきていますよね。僕自身もですが「自分の腸内環境が良いのかどうか」を知りたい、見える化したいと感じる人は多いと思います。便通や体調で大まかな推測はできますが、一般の僕らがもう少し具体的に把握するにはどうすればいいでしょうか。
林 まあ、最も簡単なのは便の調子を観察することです。毎日出るかどうか、硬いか柔らかいか、下痢なのか、コロコロしているのか。
実は医師からすると、“便秘”の判断って難しいんですね。明確な基準が存在しておらず、毎日出ていなくても、2日に1度でも体調が良く元気に過ごせていればその人の正常である可能性があります。
1週間に1度しか排便しないのに元気、という方は少ないでしょうが、便の状態とご本人の体調を合わせて評価するしかないわけです。
早川 なるほど。
林 一番いいのは、ソフトクリーム状。その次にバナナ状、ひび割れのあるバナナ状、小さなコロコロの状態……という便のスケーリングがあり、病院で便の検査をする時はそのスケールに沿って記録することがあります。
それから最近、保険適用ではないのですが便の「フローラ検査」というのがあるんです。
早川 僕、それ受けました。健康オタクなもんで。
林 今、DNA解析が安価になったんですよね。昔は1000万くらいかかったのが、今は1万円くらいになっている。そのおかげで便中の菌の種類や菌がどんな分布をしているかが把握しやすくなってきたわけです。
ただし検査の結果に基づいて善玉菌を増やして悪玉菌を減らすかと考えると、結局プロバイオティクスとプレバイオティクスを十分に摂取するという一般論に収束しがちだと考えます。となると「検査したからといって何になる」という話になっちゃうんですけどね(苦笑)。
今度もう少し研究が進めば、菌の働きが分かっていくと思います。現時点ではざっくりした情報として扱うしかないのですが、いずれ個々の菌の働きや組み合わせがパーソナライズされる時代が近づくと見ています。
早川 検査を受けた身からすると、なんとなくでも自分の体質が把握できるので、面白いと感じました。とはいえおっしゃる通り、その内容を実生活へ落とし込むのが難しいとも思います。
まずは、日々の便の形を記録して、食事や整腸剤を摂取した時の身体の影響を見ながら生活していくのがいいんですかね。今は「Plop(プロップ)」という健康管理アプリがあって、それで毎日の便の状態を記録できたりもしますし。
林 食事だけで腸内環境をコントロールするなら、食事との相関を捉えやすいかもしれないですね。薬やサプリ、もちろんヨーグルトなど発酵食品などの影響が混ざると、要因が分かりにくくなってしまうかもしれません。
🦠未来を変える!?
驚きの“菌”の研究が進行中
林 最近では、健康な人の便を病気の人に移植する「糞便移植」という治療が始まっています。特定の感染性腸炎で有効性が示されて注目を集め、自己免疫性の炎症性腸疾患でも臨床試験が行われています。腸が炎症でズルズルに剥けてしまっているような状態で、抗生物質もなかなか効かない難治性の疾患が、健康な方の便から採取した腸内細菌を移植することで、かなりの確率で状態がよくなったんです。
潰瘍性大腸炎という疾患についても、同じ結果が得られるのではないかと臨床実験が行われています。
さらに最近、世界的に30代〜40代の若年性大腸がんが増えていることが話題になっています。国立ガンセンターの発表では、コリバクチンという毒素を出す菌が消化管の粘膜を傷つけ、炎症を繰り返すうちに遺伝子の傷が増えて発がんする可能性が示されていて。若年で発がんされる方に、コリバクチンが多いという報告が出ています。
早川 それって、すごい研究結果ですね。
林 いやあ、そうなんです。このように大腸がんとコリバクチンの関係が注目されたことで、除菌の方法を突き詰めやすくなります。典型例としては、胃がんとピロリ菌の関係。
早川 ああ、ピロリ菌に感染しているかどうかの検査、ありますよね。その検査が、がんの早期発見につながったりして。
林 そうそう。ピロリ菌は80年代の後半に発見されたんです。当初はピロリ菌を除菌すると胃潰瘍なんかになりにくくなる、といった見識だったんですが、その後胃がんとの強い関係が分かってきた。
今では業界で「ピロリ菌は体内から排除しよう」という方向性になりました。結果、全体のピロリ菌感染率も減ってくるので、将来胃がん自体が根絶するかもしれません。
早川 そうしたら、将来的に大腸がんも……。
林 もちろん、今の段階では色々な可能性が考えられますけどね。早川さんが言った可能性も、なくはないでしょう。今後ますます、菌の研究によって期待できる結果が見えてくることと思います。
早川 すごい話だなあ……。より健康に生きられる未来に、期待したいですね。
🐮教えて!神グルト
「無糖やワンちゃん用も? 神グルトの新商品は?」
林 2025年の9月に青山で保護犬のイベントがあり、神グルトも出店させていただいたんですけどね。準備の際、主催者の方から「犬のヨーグルトとかってあるんですか?」と訊かれて、二つ返事で「あります」って答えたんですよ。
それで「ワングルト」という試験品をイベント限定で出品したんです。
早川 あれは、限定品だったんですね。先生、犬飼われてますもんね。
林 そう。犬、大好きでね。可愛いミニチュアダックスフンドを飼っているんですけども(笑)。
先代から、愛犬たちにも私たちが食べているのと同じ神グルトを食べさせてたんです。喜んで食べてましたよ。
それでね、犬好きなこともあって以前から、犬の生理についても勉強してきているんですが、犬って人間ほど糖に強くないみたいなんです。
早川 ええ、知らなかった。
林 だから神グルトは特に問題ないですが、人間の食べものと同じ量の糖が入っている食品が高血糖になる可能性があるので、食べさせる時に注意が必要です。それから牛乳なんかに含まれる乳糖という成分があるんですけど、乳糖不耐の犬は多い。乳糖不耐症の人の割合よりも多くて、さらに犬よりも猫は、もっと多いんだそうです。そういうことから「糖や乳糖を抑えたヨーグルトがいいんだろうな」「作りたいな」という思いは、昔から何となくあったんです。
それと同時に、これも以前から、お客様に「無糖のヨーグルトはないのか」という声をたくさんいただいてきました。ただ、申し訳ないことに用意がないんですよね。神グルトは機能性を第一に考えてオリゴ糖を入れているので、甘いんです。
早川 たしかに、プレーンヨーグルトがお好みの方も多いですもんね。
林 そうなんです。その声に応えたいと思って、機能性を落とさずに甘くないヨーグルトを作るために調合を変えて、ここ半年くらい自分の身体で実験し続けてはいたんです。
それで、冒頭の犬用ヨーグルトのお話をいただいた時にはそのプロトタイプが出来上がっていました。だから、二つ返事できたという。
早川 なるほど。犬用としても応用可能なプロトタイプだったんですね。
林 糖って一概に悪いものというわけではないんです。ただ、甘みが苦手という声も理解しています。そこで、新しいヨーグルトは生理的な作用を残しつつ甘みを抑える選択肢として希少糖に着目しました。なかでもアルロースという成分を使った配合を試し、イベントでは「ワングルト」という試験品をイベント用に出品した、というわけでした。
早川 それはまだ、試験品なんですよね。
林 そうなんです。ただ、2026年の4月には犬用の新商品を継続販売できる体制を整えるつもりで準備を進めていて。私としては、メディカルフードとして効果を落とさずに仕上げることを最優先にしています。
そんなふうに新しい展開も考えていますが、ひとまずは今発売している神グルトもオススメです。
早川 オリゴ糖の甘みがやさしくて、ほっとする感じですよね。フルーツやハチミツを加えずに、そのままで十分おいしいですし。
林 はい。なのでプレーンヨーグルトがお好きな方も、ぜひ一度試してみてほしいと思います。(了)
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