【第25回】65歳の挑戦。なぜ元がん専門医が「スタートアップの頂点」に立てたのか?
林和彦が日本有数のスタートアップイベント「ICCサミット」においてフード&ドリンクアワード優勝を果たした舞台裏に迫ります。厳しい審査とプレゼンを勝ち抜いた経験、そこに込めた想いとは何だったのか。さらに、なぜ林はどんな状況でも「やめない」のか。これまでの人生やさまざまな挑戦を通して見えてきた、「全力でやり切る生き方」についてお話しします。
☆林和彦のプレゼン動画はこちら☆
また、経営学者・坂本光司先生の著書に掲載されたエピソードや、経営人材塾8期生として林が共著した書籍についてもご紹介します。さらに、現在挑戦しているクラウドファンディングにも触れながら、事業が次のステージへ進む転機についてもお伝えします。信念を貫く経営と人生観に触れる、濃密なエピソードです。
☆「日本でいちばん大切にしたい会社9」坂本光司著(あさ出版)☆
☆「なぜこの会社には人材が多く集まってくるのか ── 40社の事例が 教えてくれる12のワケ」坂本光司&人を大切にする経営学会経営人財塾8期生著(ラグーナ出版)☆
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📖今週のよりぬき
・審査員は100人!ICCサミットのウラ話
・「日本にはもっとメディカルフードが必要」
・65歳、最年長のプレゼンに共感の嵐
・“日本で一番大切にしたい会社”に選ばれました
・“国宝級”の麹菌。実は、カビの仲間です
📖第25回テキスト版
ICCフード&ドリンクアワード優勝!
65歳、まだまだ進み続けます
早川:気づけば神グルトラジオも第25回目を迎えましたね。25回も収録した感覚、ありますか?
林:ありますよ。まあでも、常に追われてる感じですけどね。私結構、忙しいのがデフォルトなんで。
早川:「追われてる感じ」というとリスナーの皆様には一瞬ネガティブに聞こえるかもしれませんが、先生としてはネガティブなお気持ちではないんですよね?
林:もちろん。追われてることが好きというか、じっとしていられないんですよね。小学生の頃から振り返ってみると、ずっと何かに追われていたような気がします。家で座って本を読むとか、絶対できなくて。本を読みながらも手足を動かしているというような感じでした。マルチタスクをしてるってわけじゃなくて、単純に落ち着きがないだけ(笑)。
早川:(笑)。そんな先生に、まずはお祝いの言葉を伝えさせてください。
「ICCサミット」フード&ドリンクアワード、優勝おめでとうございます!
林:いやあ、ありがとうございます。
ICCサミットというのは、今、日本で一番アクティブなベンチャーキャピタリストが集まるイベントです。1400人が集まるイベントだったんですが、参加するにも招待制で、登壇してプレゼンするのも当然、誰でも出られるわけではありませんでした。何度も審査があって、選ばれた会社が登壇できるという仕組みになっていたんです。
早川:先生はこのイベントに、どんな経緯で応募されたんですか?
林:知人の社長さんから「これに出た方がいい」と言われて応募したんです。
そもそもICCには7つくらいプレゼンの場があって、今回は2つのプレゼンのコンテスト、それから「フード&ドリンクアワード」という食べ物・飲み物のアワードの、合計3つに出ることになってしまったんです。
早川:えっ。3つも参加される会社って、あんまりないですよね?
林:そうらしいです。
もちろん3つの場で同じ話をするわけにはいかないので、それぞれ内容を変えて準備しました。リハーサルもすごくちゃんとやるんですよ。本番の審査員が100人くらいいるんですが、リハーサルにも10人くらい審査員がいらっしゃって。
早川:おお……。いきなり本番ぶっつけじゃないんですね。
林:そうなんです。
フード&ドリンクアワードでは試食も出しながらプレゼンするんですが、2日間に分けて、1日50人くらいの審査員が見にいらっしゃるんです。投票権を持っている一般審査員も500〜600人くらい来場されるので、試食用に、事前に神グルトを50ccの小さなガラス瓶に1200個作って、会場の福岡に送っておいて。当日はそれを配りながらプレゼンする、という感じでした。
もう……何がなんだかわからないくらい忙しかったですね(笑)。
早川:神グルトを配ってプレゼンした後は、どんな流れだったんですか。
林:そのプレゼン審査で上位5社が選ばれて、今度はその5社でもう一度プレゼンして、最終投票、という流れでした。13社のうち5社が準決勝に進んで、その中で優勝した、という感じですね。
早川:先生はこれまでにもビジネスコンテストを経験されてますよね。
林:そうですね。でも、ベンチャーキャピタルの方々の前でプレゼンするのは初めてに近かったです。以前出たのは東京商工会議所の「勇気ある経営大賞」で、あれは「出ませんか」と声をかけていただいて、助成金を受けるにあたって有利なので出た、という感じでしたから。
今回も知人の社長から誘われたものの、自分から「出たい!」と思って行ったので、以前よりも能動的に取り組んだという印象です。予想以上にすごい場でしたね。
博多のヒルトンホテルの宴会場を丸ごと借り切って行われて、しかも来られるのが本当にすごい方ばかりで。普段は絶対に話せないような業界トップの起業家達が、審査員として並んでいるんです。
早川:それは本当に、すごい機会でしたね。
踏み込んで聞いてしまうんですが、今回の優勝によって、たとえば賞金が出るとか、自動的に出資が得られるとか、そういったことはあるんでしょうか。
林:その点で言うと、今回の参加の目的は出資や賞金ではなく、ただただ「知ってもらいたい」ということでした。うちのヨーグルトって、食べてもらわないと良さが伝わらないじゃないですか。影響力のある方々に知っていただく機会になると思ったので、その点で目的は達成されたと思います。
さらに言えば、私の企業の目的が経済的な理由じゃないと伝わったからこそ、「何かお手伝いできることはありませんか」と声をかけてくださる方も出てきて、今、いろんな方からご連絡をいただいています。本当に、ありがたいですね。
早川:そうなんですね。今回実施されたプレゼンで、特に「これだけは伝えたい」と思っていたことはありましたか?
林:私は子どものころに父親をがんで亡くして、それをきっかけに自分の人生をがんにかけると決めたんですね。医者になったのも、専門の道を選んだのも、すべてがんに向き合うための手段だったんです。私にとってヨーグルトも会社も、目標や目的じゃなくて「手段」なんですよね。がんに関係する社会的な課題を解決するための、「手段」です。
早川:社会的な課題、ですか。
林:そう。その課題は大きく2つあります。1つは就労問題。がんと診断された人の約3割がいまだに職を失うという現実を、なんとかしたいということ。もう1つは、がんの治療が終わったあとに、よくわからないサプリや民間療法に走ってしまう人を長く見てきたので、それを防ぎたかったということ。食べることで本当に健康になれる食品、「メディカルフード」という領域がもっと日本に必要だと思っていて、ヨーグルトにはそれになれる資格が十分にあると信じています。そういう提案で課題解決の道に向かうことができたらと思って、プレゼンしました。それが、伝えたかったことですかね。
それからね、私は65歳なんですが、今回の登壇者の中で最年長だったらしいんですよ(笑)。
早川:なんと、最年長でしたか。
林:基本的にはスタートアップ企業が参加する場なので、皆さんお若いんです。でもあえて、年齢をプレゼンの中に組み込みました。
日本は少子高齢化が進んでいるのに、60〜70年前の制度設計をそのまま当てはめているのがおかしい。私は、元気な高齢者は働くべきだと思っています。
もし私がこの先成功できたら『自分も林のようにやってみようか』と思う同世代が出るかもしれない。税金を納めて、働く場を作って、若い人たちに頼り切るのではなく社会の負担にならないように生きられる人が増えるかもしれない。それだけでも、日本にとって大きな影響を与えられることだと思っていて、そこを話したらかなり反響がありましたね。「この話が特に刺さりました」と言ってくれる方もいて。
早川:この神グルトラジオでもお話されてきたように、先生の考えは本当にブレないんだなということが、改めてよくわかりました。
ちなみに、僕もこのプレゼンの映像を今から観ることはできるんでしょうか?
林:下記のリンクから、一部をご覧いただけます!
林和彦が関わる
2冊の書籍が発売
早川:続いて、3月に先生が関わる本が2冊出ました。まず1冊目が3月24日発売『日本で一番大切にしたい会社 9巻』。坂本光司先生の人気シリーズの最新刊で、神楽坂乳業が取り上げられています。
そして2冊目が、3月31日発売『なぜこの会社には 人財が多く集まってくるのかー40社の事例が 教えてくれる12のワケ』。こちらも坂本光司先生と、人を大切にする経営学会 経営人材塾第8期生のみなさんの共著ですね。
林:1冊目の『日本で一番大切にしたい会社』についてですが、著者の坂本光司先生は元法政大学の教授で、経営学・経済学の研究者でありながら、リアルな現場を見てきた方なんです。株主至上主義とは対極にある「社員やお取引先様を大切にする会社こそ良い会社だ」という持論をお持ちの方です。
私は坂本さんが主宰されている「経営人材塾」に1年間通っていて。でも、塾生だから掲載されるというわけではなくて、載せていただけると聞いた時は驚きました。
掲載を希望する会社が何百社もある中で、まだ完全に黒字化もできていない、従業員たった5人の弊社を掲載したいとおっしゃってくれたのは、坂本さんが、一生懸命やっているところを見ていてくださったからだと思います。
私の子どもの頃のことから丁寧に書いてくださっていて……ありがたいですね。
早川:『なぜこの会社には 人財が多く集まってくるのかー40社の事例が 教えてくれる12のワケ』のほうは、どんな本なんですか?
林:これは弊社が掲載されているわけではなく、私が一部を執筆した本ですね。先ほどお話しした坂本さんの経営人材塾の塾生たちは1年間色々な会社の研究を進めるわけですけれど、その集大成として自分が素晴らしいと思う会社を探し出して、レポートにまとめるんです。それを40人分集めたのがこの本で、私は九州のとある会社を取材して、直接社長さんにもお話を伺って考察などを書きました。その執筆したレポートが、掲載されています。
早川:2冊とも、拝読するのが楽しみですね。
3月を振り返ってみると、ICCサミット、そして本の出版などを通して、先生が神楽坂乳業やご自身を顧みる機会が多かったんじゃないかと感じています。
林:そうですね。早川さんだけじゃなく、周りの方からも「林はブレてない」と言っていただくんです。苦しくても我慢して全力で頑張るところが。
起業してあっという間に8年が経って、この間は基本的に会社から給料をもらっていなくて、ずっと医者のアルバイトと掛け持ちで続けてきました。そんな状況でも、見ている人は見ていてくれているんですね。会社もお客様のご愛顧のおかげで、昨年末くらいからようやく損益分岐点あたりまで来られるようになった。フェーズが変わったなと感じています。
早川:なるほど。
林:今まではどうしても「1人で頑張ってきた」という感じがあったんですが、これからはいよいよ会社として社会にアピールしていくフェーズに入ってきた。「協力するよ」と言ってくれる人が集まってくれたり、評価してくださる方も出てきて。この8年間、大きな花を咲かせるどころか葉っぱもうまく伸びなかったんだけど、根だけは張ってきていたんだな、と思います。これからいかに花を咲かせるか、というところにかかっていると痛感しています。
早川:そうですよね。とはいえこの8年「もうやめたい」とか「倒れそう」なんて風に、心が折れそうになったことはなかったんですか。
林:うーん……。これは偉そうに聞こえるかもしれないんですが、これまでの人生の中で、自分が命がけで全てを出し切ったことでは、負けなしなんですよ。
大学受験のときも、父親をがんで亡くしてお金がないから実家から通える都内の国立医学部しか選択肢がない中で。高校卒業時点では絶対無理な成績だったのに、トイレとお風呂以外は全部勉強するくらいの1年を過ごして、ギリギリで入れた。大学時代も、国家試験もギリギリで受かった。医師になってからも、外科、内視鏡、抗がん剤、緩和ケアと専門を積み重ねてきて、全部しんどかったけれど、全力でやれば成功できるというのが自分の中の支えになっているんだと思います。だから今の会社も、必死こいてやっていけば、負ける気がしないんです。逆に、手を抜いたら失敗するって分かる。
早川:僕の中には、先生は「これだ」と決めたことは簡単にやめない、というイメージが強くあります。一見思いつきに見えても、実はちゃんと考え抜いた仮説の上にある……というような。
林:そうですね。いきなり教員免許を取るとか、大学勤務を辞めてヨーグルト屋になる、なんて普通に見たら頭おかしい爺さんですけどね(笑)。
でも自分なりに、この商品には意味がある、こうやれば売れる、こうすれば成功するという仮説を作った上で動いている。その仮説を実現できなかったら、自分がちゃんと計画できなかったということになってしまって、それを認めたくないから、これからも頑張り続けるんだと思います。
■ 教えて!神グルト
〜麹菌と乳酸菌の違い〜
【ご質問】
「麹菌と乳酸菌の違いは? 麹菌でヨーグルトは作れないの?」
早川:「菌」という字が共通しているのでつい混同しちゃいますよね。
林:まず分類から言うと、麹菌はカビの仲間です。菌類の中のカビ。日本固有の菌で、ある意味国宝といってもいいくらいの存在です。麹菌はタンパク質を分解する酵素、糖を分解する酵素、脂肪を分解する酵素といったものを作り出しながら、深い味わいを生み出していくのが麹菌の特徴です。
早川:乳酸菌はまったく違うものなんですか?
林:全然違います。乳酸菌は「細菌」です。糖を分解して乳酸を生み出す能力を持っていれば乳酸菌と呼べる、というような定義なので、乳酸菌は1種類じゃなくて400〜500種類あると言われています。
麹菌はカビなので菌糸をたくさん張り合わせた多細胞の生き物ですが、乳酸菌は単細胞。まったく違う生き物ですね。ちなみにパン酵母(イースト)も酵母というカビの一種ですが、これは麹菌とも乳酸菌とも別物です。同じ「発酵」に関わっていても、全然種類が違う。……これ、1回のコーナーじゃ全然収まらないですね(笑)。
早川:これはメインコーナーのテーマに昇格ですね(笑)。続きはまた次回に!(了)
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